三菱化学(株)は接着性に優れたポリエステル系熱可塑性エラストマーの開発の業績に対し、社団法人高分子学会より平成一八年度高分子学会賞(技術)を受賞した。授賞式は5月30日高分子学会年次大会(国立京都国際会館)にて行われた。
三菱化学が開発したポリエステル系熱可塑性エラストマーは2タイプあり、多種の樹脂に対して接着性を発現、従来に無かった複合成形体を提供できる。
一つは、ポリエステル系熱可塑性エラストマーを主成分とするアロイである。柔軟かつゴム弾性に優れ、更にユニークな接着機構によりポリスチレン、ポリカーボネート等と熱融着することから、2色成形法を用いて携帯電話など精密部品、家電製品のパッキンや操作ボタンの複合成形品を簡便に提供できるようになった。従来、2色成形が可能な硬質樹脂とエラストマーの組み合わせはPPとオレフィン系エラストマー等に限られていたが、開発品はこの選択肢を飛躍的に拡大した。
他の一つは、酸無水物をグラフトした全く新規なポリエステル系熱可塑性エラストマーであり、ポリアミドやエチレンビニルアルコール共重合体等のガスバリヤー性樹脂とポリエステルを共押し出し成形にて強固に接着させることができる。既存の共押し出し用接着性樹脂では耐熱性に乏しく、ボイル、レトルトには耐えられなかったが、開発品は高温での接着力を維持することからこれら用途に使用できる。ドライラミネーションの様に溶剤を含む接着剤を使用しない共押し出しにて製造できることからVOC低減にも貢献が期待される。
新規な複合成形体を提供する価値が市場に認められ、この2タイプを合わせて06年度の販売量はポリエステル系エラストマー市場の約10%のシェアまで成長し、これらの実績が高く評価されて賞に値するものと認められた。